こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
食品ロスがテーマの小論文はどう書けばいい?
大学入試・高校入試の小論文では、社会問題が出題される傾向が強く、なかでも「食品ロス」はこれから社会全体の問題となっていく分野なので、出題確率が高いテーマであると言えます。
僕は現在私立高校の国語教師を務めており、毎年小論文指導に取り組んでいます。
そんな僕が「食品ロスがテーマの小論文」の書き方を徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
食品ロスは小論文の頻出テーマ
小論文は「解決すべき社会問題」に対する自分独自の解決策を提案する試験です。
食品ロスの問題は、近年重要視されているSDGsともつながるので入試小論文での出題確率はかなり高いといえます。
特に社会学系の学部の入試での頻出テーマと言えるでしょう。
そもそも食品ロスってどういうものなんですか?
よく聞くけど、イマイチ分からないです…。
という方のために、まずは「食品ロス」とは何かについて、軽く解説します。
食品ロスとは何か?
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で、食べられるのに食品が捨てられてしまうことを食品ロスと言います。
日本の人口1人当たりの食品ロス量は年間約45キログラムと言われており、大きな社会問題になっています。
年間で1人当たり45Kgも、食べられる食品を捨ててしまっているんですね…。
大量の食品ロスが発生することにより、様々な影響や問題があります。
食品ロスによる問題
・ごみ処理にかかる多額のコスト
・CO2排出や焼却後の灰の埋め立てによる環境負担
・貧困地域との格差
・生産の無駄
こうした問題は「持続可能な社会を作る」というSDGsの目標に反するので、特にSDGsの話題と一緒に出題される傾向があります。
食品ロスの小論文の例題
入試ではどのように出題されますか?
食品ロスがテーマになっている、小論文の入試問題の例題です。
食品ロスを含めた食品廃棄物を削減することの意義について述べた上で、誰がどのような取り組みをすべきかなど、食品ロスを含めた食品廃棄物を削減するための具体的な方策についてあなたの考えを800字以内で述べなさい。
第 3 次食育推進基本計画では、「食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合を増やす」という目標が掲げられています。また、2019 年 5 月には「食品ロスの削減の推進に関する法律」も公布されました。
あなたは管理栄養士を目指す立場として、環境問題もふまえた無駄のない賢い食生活について、どのような取り組みを行えば「食品ロス削減」に繋がると考えますか。具体例を挙げ 800 字以内で述べなさい。
①一般家庭において食品ロスが発生している背景や要因について簡単に説明するとともに、食品ロスを発生させないための対策について、あなたの考えを述べなさい。
②食品小売業(スーパーマーケットやコンビニ等)において食品ロスが発生する背景や要因について簡単に説明するとともに、食品ロスを発生させないための対策について、あなたの考えを述べなさい。
・原因についての理解が求められる
・具体的な対策が求められる。
食品ロスの原因について知り、自分ができる具体的な解決策を提示できれば、合格する小論文は書けます。
食品ロスについての、最低限の知識は頭に入れておくと有利になります!
食品ロスで知っておくべき知識
「食品ロス」がテーマとして出題された場合、全くの無知だと書くことに困ってしまいますよね。
食品ロスの小論文を書く前に、知っておくと有利になる最低限の前提知識を解説します。
・日本の食品ロス量は年間約570万トン
(世界では13億トン)
・食品関連事業だけでなく家庭からも発生している
・原因の1位は「売れ残り」「食べ残し」
上記の知識を前提として頭に入れておけば、食品ロスがテーマの小論文が出題されてもうろたえることはありません。
食品ロスの小論文の具体的な書き方
食品ロスがテーマの小論文を書いていく流れを、具体的に解説します。
1.問題文を理解する
2.構成メモを作成する
3.解答用紙に書き始める
食品ロスがテーマといっても、通常の小論文をほとんど書き方の流れは変わりません。
「食品ロスの原因」「食品ロスを削減する具体的な対策」を内容にしっかりと入れることができるかがポイントになります。
ここでは食品ロスがテーマの基本的な例題から具体的な書き方の流れを説明します。
例題
「食品ロス」の問題を解決するためはどのような方策を講じるべきか。あなたの意見を述べなさい。(800字以内)
1.問題文を理解する
まずは「何を聞かれていて、何を答えるのか」を明確にします。
これは、小論文の採点基準の一つである「読解力」にも関係することです。
テーマ「食品ロス削減の具体的な方策」
・食品ロス削減のために自分ができること
・具体的かつ実現可能な方法
「食品ロスを削減する」ための現実的な対策を求められていることをまずは理解します。
なので、小論文のメインの内容は「自分ができる食品ロス対策」をしっかりと書かないと減点になります。
2.構成メモを作成する
小論文を書くときは、いきなり解答用紙に書き始めずに必ず「構成メモ」を作りましょう。
構成メモは問題用紙の空きスペースに走り書きすればOKで、特に決まった様式はありません。
「構成メモ」が分からない人は、以下のページで解説しています。
では、具体的に構成メモを作る手順を解説します。
書き出し(序論)の書き方
まずは書き出しの部分で、食品ロスについての基本的な知識を整理します。
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で食べられるのに食品が捨てられてしまう食品ロスという現象が近年社会問題になっている。
「食品ロスとは何か」を書くのは本当に必要ですか?
「テーマに対する正しい知識」を持っているというアピールになりますし、これから論じる内容の根拠にもなるので「食品ロスの知識」から書き出すのがオススメです。
ここから「自分ができる食品ロス対策」につなげていきます。
序論はこのように、食品ロスの知識から書き出していくと次につなげやすいのでオススメです。
➡【小論文の書き出し】簡単に書ける7つの例文【序論の書き方】
本論の書き方
本論では「自分ができる食品ロス対策」について具体的に書いていきます。
①買い出し前の食材の確認
②必要分だけ買って食べきる
③食品の期限表示を確認
家庭で取り組めることとして、上記の3つを上げました。
対策の個数については、指定字数を考慮して決めると良いです。
・400字程度→1~2個
・800字程度→2~3個
・1000字程度→3~4個
解決策を羅列するだけの小論文にならないように、上にあげた①~③の理由や効果なども併せて考えていくとより説得力のある文章になります。
結論の書き方
結論は長々しくせず、簡潔にまとめると良いです。
「食品ロス」の問題は、企業が主体的に取り組むべきことですが、一人一人の意識を変えていくことが解決の糸口になります。
自分自身ができることを意識して、少しでも減らせるように努力していくという終わり方にすると読後感も良くなり評価が落ちることはありません。
・食品ロスは企業だけでなく家庭の問題でもある
・一人一人か意識することで変わっていく
このように「構成メモ」の段階でほとんど書くべきことは洗い出してしまいます。
800字という指定字数に過不足なく解答するために、構成メモを書くときに要素を増やしたり減らしたりして「あとは解答用紙に写すだけ」という状態まで持って行くことが小論文の鉄則です。
3.解答用紙に本書きする
構成メモができたら、小論文はほぼ完成したも同じです。
あとは構成メモを元に解答用紙に清書していきましょう。
解答用紙に書くにあたって、気をつけなければならないことは以下の通りです。
・「~だ」「~である」調に統一する
・「話し言葉」や「カタカナ語」に注意する
・一人称は男女とも「私」
・一文は短く簡潔に
・原稿用紙のルールを守る
このような基本的なところで減点されないように気を付けて、濃くはっきりとした丁寧な字で書きましょう。
食品ロスの小論文の例文
前述した構成メモを使って書いた、食品ロスの小論文の例文がこちらです。
例題
「食品ロス」の問題を解決するためはどのような方策を講じるべきか。あなたの意見を述べなさい。(800字以内)
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で食べられるのに食品が捨てられてしまう食品ロスという現象が近年社会問題になっている。日本の食品ロス量は、年間570万トンと言われており、これは食品関連業者だけではなく家庭からも発生している。この食品ロスの問題を解決するために、私たちができる行動は何かを考え論じていこうと思う。
食品ロスを減らすためには、一人ひとりができることを積み重ねていくことが重要である。家庭で取り組めることとして三つの対策を提案する。一つ目は、食材の買い出しをする前に冷蔵庫や食品庫にある食材をよく確認することである。具体的には買物前の時間に、冷蔵庫内を携帯電話のカメラ機能で撮影しておくなどがあげられる。これにより食材をかぶらせたり、無駄なものを買ってしまうことを防ぐことができる。二つ目は必要な分だけを買って食べきることを意識することだ。家庭からの食品ロスが発生してしまう原因として、消費期限が切れることによる直接廃棄が大きいと考えられる。そこで必要十分な食材だけを買って余らせることがないように、事前に購入リストなどを作成して買い出しに行けば無駄な買い物をする機会が減り食品ロスの解決につながる。三つ目は利用予定と照らし合わせて、食品の期限表示を確認することだ。買い物をする際、期限までの期間がより長いものを買おうと棚の奥から商品を取ってしまうが、期限が短かったり、切れてしまうと店で返品や廃棄してしまう可能性が高くなる。すぐに使うものはできるだけ消費期限が早いものを購入することにより、家庭でも無駄なく使えて、食品関連業者の食品ロスも防ぐことができると考える。
食品ロスは企業だけの問題ではなく、私たち一人ひとりが意識していかなければならない世界的な問題である。私自身も自分ができることから実践して、無駄なく食品を使い切ることができるように工夫していきたいと思う。(791字)
時間配分の目安
800字/60分はスタンダードな制限時間と文字数ですが、その他の場合の時間配分の目安をまとめておきます。
時間 | 分析 | 構成 | 清書 | 見直し |
30分 | 5分 | 5~10分 | 10~15分 | 5分 |
60分 | 5~10分 | 15~20分 | 20~30分 | 5~10分 |
90分 | 5~15分 | 20~30分 | 30~40分 | 5~10分 |
120分 | 10~15分 | 25~30分 | 40~60分 | 15~20分 |
あくまで目安ですが、この通りに進めれば無理なく最後まで書き切ることができます。
問題を分析する
↓
構成をつくる
↓
解答用紙に清書する
↓
見直しをする
小論文は具体的に上記の手順にそって書いていくので、練習の時から意識するようにしましょう。
特に「構成メモ」を作る段階に時間をかけましょう!
食品ロスの小論文の対策・勉強法
最後に食品ロスの小論文の対策と勉強法の重要なポイントを解説していきます。
・SDGsと関連させて理解を深める
・小論文自体の勉強が一番大切
まず「食品ロス」が頻出テーマであるからといって、入試小論文で必ず出るとは限りません。
「食品ロス」については、前述している最低限の知識を入れておけば十分です。
もちろん一般教養として知識を身につけておけば入試以外でも活用できるので、食品ロスについて調べておくことは重要です。
食品ロスについての知識を深めるなら、SDGsとの関連性を意識して取り組むと良いでしょう。
SDGsも小論文の頻出テーマなので、入試対策につながります。
SDGsと関連させて理解を深める
食品ロスはSDGsの目標の12番「つくる責任つかう責任」の一つに取り上げられています。
この目標は「つくる責任つかう責任」として、衣料や食料、エネルギーなどの色々な分野の消費と生産のパターンを確保して、資源をより効率良く利用できる経済の実現を目指すものです。
また8番や9番の目標にも関連しています。
食品ロスとSDGsの関連目標
・12番「つくる責任つかう責任」
・8番「働きがいも経済成長も」
・9番「産業と技術革新の基礎をつくろう」
これらの目標と関連させた内容を小論文に入れることができれば、かなり高得点が期待できます。
小論文自体の勉強が一番大切
食品ロス自体は「小論文の頻出テーマの一つ」に過ぎないので、小論文の書き方を勉強することが合格への近道です。
小論文の勉強法などを解説したページもありますので、ぜひ参考にしてください。
総合型選抜で受験予定の方へ
あなたが小論文を勉強する理由は、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)ですか?
だとしたら、専門の塾を検討することをおすすめします。
専門塾が必要な理由
・小論文対策は独学では難しい
・総合型選抜は学校や塾では対策困難
・各大学ごとに必要な対策が違う
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以上で本記事は終了です!
最後までご覧いただきありがとうございました!