こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
AIがテーマの小論文はどう書く?
大学入試・高校入試の小論文では、社会問題が出題される傾向が強く、なかでも「AI」はこれから確実に日常生活の一部となっていく分野なので、出題確率がかなり高いテーマです。
僕は現在私立高校の国語教師を務めており、毎年小論文指導に取り組んでいます。
そんな僕が「AIがテーマの小論文」の書き方を徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
AIは小論文の頻出テーマ
小論文は「解決すべき社会問題」に対する自分独自の解決策を提案する試験です。
AIは今後あらゆる分野で活用され、確実に生活の一部になると考えられるので、入試小論文での出題確率はかなり高いといえます。
特に医療分野では、現在もAIが活用されているので頻出のテーマであると言えます。
そもそもAIってどういうものなんですか?
よく聞くけど、イマイチ分からないです…。
という方のために、まずは「AIとは何か」について、軽く解説します。
AIとは何か?
AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略で、コンピュータがデータ分析をもとに、推論したり判断したりできる技術のことです。
AIが活用されている代表例
・Siriなどの音声アシスタント
・アレクサなどのスマートスピーカー
・ルンバなどのお掃除ロボット
このように、近年AIは日常生活の中で活用されるケースが増えてきており、今後さまざまな分野で活用が期待されています。
でも私文系なので、AIの仕組みとかプログラムとかちょっとよく分からないです…。
AIがテーマの小論文を書く上で、AIについての専門家になる必要はありません。
知っておくべきは「AIは何ができるのか」ということと、「AIが志望分野に何をもたらすか」です。
AIができること
・音声認識
・画像認識
・検索
・シミュレーション
AIは大量のデータを処理し、最適な提案をすることが得意です。
なので、事務作業を人間の代わりに行い、負担を軽減するなどの使い方が期待されます。
志望分野にあるどのような問題を、AIが解決できるのか正しく論じることができれば高得点をとれます。
逆にAIにできないことは、「空気を察して臨機応変に判断する」などの人間の感性や感情が必要なことです。
AIはあくまでもデータを元に判断をしているので、データに無いことは基本的に対応外です。
AIを「データを集めて活用するもの」という風に理解しておけば、大ハズレした解答になることはありません!
AIの小論文の例題
入試ではどのように出題されますか?
AIがテーマになっている、小論文の入試問題の例題です。
例題
近年随所で語られている「人工知能(AI)が多くの人から仕事を奪う」という見解に対するあなたの意見を述べなさい。(150~200字)
また、そのような時代に生きるあなたは、これからどのように学び、生きていく必要があるでしょうか。自分の意見を述べなさい。(400~500字)
・AIとの共存
・AIにできず人間にできること
「AIにできること」「人間にできること」、この2つをしっかりと論じることができれば合格する小論文は書けます。
AIを恐れず、正しく付き合っていくことを考えましょう!
AIの小論文の具体的な書き方
AIがテーマの小論文を書いていく流れを、具体的に解説します。
1.問題文を理解する
2.構成メモを作成する
3.解答用紙に書き始める
AIがテーマといっても、通常の小論文をほとんど書き方の流れは変わりません。
「AIをどう活用するか」「人間にできてAIにできないこと」を内容にしっかりと入れることができるかがポイントになります。
ここではAIがテーマになりやすい「医療分野」の例題から具体的な書き方の流れを説明します。
例題
「医療におけるAIの役割について」あなたの意見を述べなさい。(800字以内)
1.問題文を理解する
まずは「何を聞かれていて、何を答えるのか」を明確にします。
これは、小論文の採点基準の一つである「読解力」にも関係することです。
テーマ…「医療におけるAIの役割」
①AIが現実に医療に貢献していること
②AIにできず人間にしかできないこと
「あなたの意見を述べなさい」という問題なので、自分はどう考えているかというスタンスを明確にする必要があります。
特に①②の内容は解答に含めておかないと、大幅な減点になるので注意が必要です。
2.構成メモを作成する
小論文を書くときは、いきなり解答用紙に書き始めずに必ず「構成メモ」を作りましょう。
構成メモは問題用紙の空きスペースに走り書きすればOKで、特に決まった様式はありません。
「構成メモ」が分からない人は、以下のページで解説しています。
では、具体的に構成メモを作る手順を解説します。
書き出し(序論)の書き方
まずは書き出しの部分で、AIについての基本的な知識を整理します。
AIとは人間のように学習能力をもったプログラムのことで、単純な作業を人間よりも迅速かつ正確に処理することができる。
「AIとは何か」を書くのは本当に必要ですか?
「テーマに対する正しい知識」を持っているというアピールになりますし、これから論じる内容の根拠にもなるのでAIの小論文は「AIの知識」から書き出すのがオススメです。
AIが医療現場でできること
①AIは正確に情報を処理できる
②単純作業を肩代わりしてくれる
次に、AIが医療現場でできることの概要をまとめます。
上記の2点についてAIは医療現場で役に立つ可能性があるので、次の本論で具体的に述べるために例をあげておきます。
序論はこのように、AIの知識メインで書き出していくと次につなげやすいのでオススメです。
➡【小論文の書き出し】簡単に書ける7つの例文【序論の書き方】
本論の書き方
序論で提起した「AIが活用できる例」に対する、具体的な事例を述べていきます。
①の「AIは正確に情報を処理できる」について、医療現場での具体例を考える。
・「画像診断」を用いて蓄積された膨大な診断データをもとに、早く正確な診断が期待できる。
・診断データを共有すれば地域格差を解消し、全体的な医療水準の向上も可能である。
②の「単純作業を肩代わりしてくれる」について、医療現場での具体例を考える。
・医療従事者の負担が減り、生産性が向上する。
・患者一人一人と向き合る時間が増える。
ここで重要なのは「AIは便利だが万能ではない」ということです。
「AIにはできない人間だけができること」に触れておくことも大切です。
AIの分析がどれだけ正確になっても「人間」に診てもらいたいという患者はいる。
AIの便利さだけを論じても説得力に欠ける内容になるので、AIのデメリットとなる部分にも触れて、「AIとの共存」を論じていくと高得点です。
AIには理解できない「感情・感性・気持ち」の面から「人間にしかできないこと」を考えていきましょう。
本論は具体的なことを書いていく段落で、小論文のメインになるところです。
①②のどちらの要素も抑えつつ、指定字数内でまとめていきます。
結論の書き方
結論は長々しくせず、簡潔にまとめると良いです。
テーマである「医療におけるAIの役割」はまだ答えの出るものではありません。
「AIを正しく理解し、これからも考えていく」という希望を持たせるスタンスで締めると、読後感も良くなり評価が落ちることはありません。
・AIが導入されて便利になろうとも、医療現場では「患者」が第一である。
・これからも「AIとの共存」を考えることが大切である。
このように「構成メモ」の段階でほとんど書くべきことは洗い出してしまいます。
800字という指定字数に過不足なく解答するために、構成メモを書くときに要素を増やしたり減らしたりして「あとは解答用紙に写すだけ」という状態まで持って行くことが小論文の鉄則です。
3.解答用紙に本書きする
構成メモができたら、小論文はほぼ完成したも同じです。
あとは構成メモを元に解答用紙に清書していきましょう。
解答用紙に書くにあたって、気をつけなければならないことは以下の通りです。
・「~だ」「~である」調に統一する
・「話し言葉」や「カタカナ語」に注意する
・一人称は男女とも「私」
・一文は短く簡潔に
・原稿用紙のルールを守る
このような基本的なところで減点されないように気を付けて、濃くはっきりとした丁寧な字で書きましょう。
AIの小論文の例文
前述した構成メモを使って書いた、AIの小論文の例文がこちらです。
例題
「医療におけるAIの役割について」あなたの意見を述べなさい。(800字以内)
AIとは人間のように学習能力をもったプログラムのことで、単純な作業を人間よりも迅速かつ正確に処理することができる。一つのミスが命にかかわる医療現場において、AIがもつ正確性は重要な役割を果たすと考えられる。また、単純作業を人間の代わりにAIがこなしてくれることで、医療現場の負担軽減にもつながる。では、具体的にAIが医療現場でどのような役割を担っていくのかを考える。
AIのもつ正確なデータ処理能力は、医療現場の業務を格段に効率化することができる。現に医療現場でAIが活用されている例として「画像診断」が挙げられる。蓄積された膨大な診断データをもとに、早く正確な診断が期待できる。インターネットで診断データを共有すれば地域格差を解消し、全体的な医療水準の向上も可能である。また、AIが単純な事務作業を人間の代わりに行うことによって、医師や看護師が患者一人一人と直接関わる機会が増え、よりきめ細かい治療を行うことができる。24時間体制の医療現場において、医師や看護師の負担は大きく、AIが単純作業を減らすことで生産性が向上する。このようにAIが医療現場にもたらす利点は大きく、間違いなくAIの活用の幅は広がっていくと考えられる。
しかし、AIは万能ではなく、どれほど精密に患者を診断し正確なアドバイスを提供できるようになったとしても、「人間」に診てもらいたいという患者の想いを無視することはできない。また、AIはあくまでも蓄積されたデータを元に判断しているだけなので、患者一人一人のメンタルケアなどは人間である医師や看護師にしかできないことである。AIは医療現場の生産性を間違いなく向上させてくれるが、今後も人間が人間を診るという医療の根本は変わることはないだろう。
医療従事者を志す者にとって、AIがどれだけ進歩しようとも人間にしかできないことを正しく理解し、何が最も患者のためになるのかを考えることが重要であると私は考える。(799字)
時間配分の目安
800字/60分はスタンダードな制限時間と文字数ですが、その他の場合の時間配分の目安をまとめておきます。
時間 | 分析 | 構成 | 清書 | 見直し |
30分 | 5分 | 5~10分 | 10~15分 | 5分 |
60分 | 5~10分 | 15~20分 | 20~30分 | 5~10分 |
90分 | 5~15分 | 20~30分 | 30~40分 | 5~10分 |
120分 | 10~15分 | 25~30分 | 40~60分 | 15~20分 |
あくまで目安ですが、この通りに進めれば無理なく最後まで書き切ることができます。
問題を分析する
↓
構成をつくる
↓
解答用紙に清書する
↓
見直しをする
小論文は具体的に上記の手順にそって書いていくので、練習の時から意識するようにしましょう。
特に「構成メモ」を作る段階に時間をかけましょう!
AIの小論文の対策・勉強法
最後にAIの小論文の対策と勉強法の重要なポイントを解説していきます。
・志望分野のAI活用事例を調べる
・小論文自体の勉強が一番大切
まず「AI」が頻出テーマであるからといって、入試小論文で必ず出るとは限りません。
なので、AIの勉強に時間をかけすぎるのは良くないと言えます。
もちろん一般教養として知識を身につけておけば入試以外でも活用できるので、AIについて調べておくことは重要です。
効率的に小論文の勉強をしていきたいなら、「志望分野のAI活用事例」を頭に入れておくことが大切です。
志望分野のAI活用事例を調べる
AIがテーマの小論文が出題されたとしても、志望分野のAI活用事例を知っていたら全く怖くありません。
また、AIの活用について「自分のアイディア」を求められた時も、実際の活用事例を知っていたらヒントになるでしょう。
では、主な学部別でAIの活用事例を紹介します。
経済学部・社会学部のAI活用事例
・AIによる自動見積作成
・人手不足解消や受注数量予測
経済学や社会学の分野においてAIは「生産性の向上」を目的に滑油されています。
人間の作業時間を減らしたり、人間の代わりに業務を行うことで会社の負担を減らせる利点があります。
商学部・経営学部のAI活用事例
・AIによる自動広告の生成
・マーケティングの精度向上
商売や経営は「いかにモノを売るか」が大切で、AIは顧客のデータを分析し、営業効率を高めるために活用されています。
買い物でもらう「レシート」一つとっても情報の塊で分析するのは大きな価値がありますが、消費者の行動を人間が全て分析するのは不可能に近いです。
そこでデータ分析の得意なAIが活用される、というわけです。
教育学部のAI活用事例
・子どもの苦手をAIが分析して特別ドリルを作成
・事務作業の自動化で教員の負担減
教育分野では、AIはまだあまり活用されていない傾向にあります。
AIに奪われない仕事の代表例として「小・中学校教員」があげられるように、子どもに関わる仕事はAIの苦手領域です。
ただ、激務を報じられる教員の仕事を減らせる可能性のあるAIは今後教育業界にも浸透するはずなので、しっかりと活用例を理解していきましょう。
工学部・理学部のAI活用事例
・新たなAIの研究開発
・データ分析の活用
工学部ではAIの研究開発がメインなので、活用事例というより「今後どのようなAIを開発していくべきか」という問題に焦点が当たると思います。
理学部は研究データの分析をAIに行わせるなど、正確かつ人間の負担を減らせるような活用の仕方がメインです。
医学部・看護学部のAI活用事例
・診断支援AI
・ヘルスケアAI
医療分野では現在もAIが幅広く活用されています。
特に「画像診断」などでAIは大きな力を発揮し、人間による二重三重のチェックをAIが一回で済ませるなど生産性の向上に役立っています。
また過去の診断データを元に最適なアドバイスを提供する「ヘルスケアAI」も提供の幅を広げています。
小論文自体の勉強が一番大切
AI自体は「小論文の頻出テーマの一つ」に過ぎないので、小論文の書き方を勉強することが合格への近道です。
小論文の勉強法などを解説したページもありますので、ぜひ参考にしてください。
総合型選抜で受験予定の方へ
あなたが小論文を勉強する理由は、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)ですか?
だとしたら、専門の塾を検討することをおすすめします。
専門塾が必要な理由
・小論文対策は独学では難しい
・総合型選抜は学校や塾では対策困難
・各大学ごとに必要な対策が違う
現役高校教師の僕がオススメするのは「総合型選抜専門塾AOI」です。
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以上で本記事は終了です!
最後までご覧いただきありがとうございました!