こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
少子高齢化がテーマの小論文はどう書く?
大学入試・高校入試の小論文では、社会問題が出題される傾向が強く、なかでも「少子高齢化」は日本社会の未来に関わる問題なので、出題確率がかなり高いテーマです。
僕は現在私立高校の国語教師を務めており、毎年小論文指導に取り組んでいます。
そんな僕が「少子高齢化の小論文」の書き方を徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
少子高齢化は小論文の頻出テーマ
小論文は「解決すべき社会問題」に対する自分独自の解決策を提案する試験です。
少子高齢化は年々問題化されている日本の未来に関わる社会問題なので、入試小論文での出題確率はかなり高いといえます。
そもそも少子高齢化って何ですか?
という方のために、まずは「少子高齢化とは何か」について、軽く解説します。
少子高齢化とは?
少子高齢化は、少子化と高齢化を合わせて作られた言葉ですが、その定義について説明します。
少子化とは?
合計特殊出生率が人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況のこと。
合計特殊出生率とは15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計したものです。
少子化とはざっくり言うと「生まれてくる子どもの数が減少している」ということです。
高齢化とは?
0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を高齢者人口としたとき、総人口に占める高齢者人口が増大していること。
高齢化とはざっくり言うと「65歳以上の高齢者人口が増加している」ということです。
子どもが減って高齢者が増えると、さまざまな問題が出ますよね。
少子高齢化は日本の深刻な社会問題であり、国民全員で解決を測っていかなければなりません。
知っておきたい少子高齢化のデータ
少子高齢化がテーマの小論文を書くにあたって、最低限知っておきたい少子高齢化についてのデータを紹介します。
【2022年の日本の人口データ】
日本の総人口 | 1億2550万人 |
年少人口 (0~14歳) | 1,478万人(11.8%) |
生産年齢人口 (15~64歳) | 7,458万人(59.4%) |
高齢者人口 (65歳以上) | 3,558万人(28.1%) |
高齢者人口の割合が、年少人口の割合よりも高いことが分かり、少子高齢化が進んでいることを表ています。
【出生数と合計特殊出生率】
年代 | 出生数 | 合計特殊出生率 |
1949年 | 269万人 | 4.32 |
1973年 | 209万人 | 2.14 |
2020年 | 84万人 | 1.33 |
出生数は生まれた子どもの人数で、1949年のピークから185万人ほど減少しています。
合計特殊出生率は、一世帯あたり何人の子どもが生まれるかです。
ピークの1949年は四人兄弟以上が普通でしたが、現在では一人っ子が普通になるほど下がっています。
なんとなくわかっていても、具体的なデータで見ると深刻さが分かりますね…。
少子高齢化の小論文の例題
入試ではどのように出題されますか?
少子高齢化が関連している、小論文の入試問題の例題です。
例題
高齢化や過疎化が進む地域の活性化を進めるには、どのような方策が考えられますか、その理由と具体的解決策について本学のアドミッション・ポリシ-をよく読み、経営や情報通信技術に関する知識を用いて、800字以内で具体的に記述してください。
例題
少子高齢化の進展が地域社会に与える影響について、各地の具体的な実状を述べた上で、あなたの見解を述べなさい。
例題
近年,少子高齢化に伴い,「買い物弱者」(ないしは「買い物難民」)の問題が注目を浴びています。生活に必要な食料品や日用品を日常的に購買することが難しくなる住民(特に高齢者)が増えているのです。その原因の1つとして,地域において生活必需品を日常的に購買できる環境,すなわち「買い物環境」の悪化があります。
地域を1つ選び,その地域の買い物環境を調査して,その地域における買い物弱者発生の可能性とその対策について,あなたの意見を述べてください。
・解決すべき課題を提案させている
・自分ができる解決法を提案させている
3つの例題とも「少子高齢化の解決のために、あなたは何ができますか?」という趣旨の内容ですね。
「課題に対する解決策の提案」が少子高齢化の小論文の極意です!
少子高齢化の小論文の具体的な書き方
具体的にどのような流れで、少子高齢化の小論文を書いていくのかを解説します。
1.出題に対する答え方を考える
2.構成メモを作成する
3.解答用紙に本書きする
通常の小論文を書くときと大まかな流れは変わりませんが、2の「構成メモ」を作るときに少子高齢化の要素をしっかりと入れることがポイントです。
ここでは以下の例題で、具体的に書いていきます。
例題
少子高齢化社会の解決に向けて行政がすべきことは何か。
また、あなたができることは何か。
800字以内で答えなさい。
1.出題に対する答え方を考える
まずは「何を聞かれていて、何を答えるのか」を明確にします。
これは、小論文の採点基準の一つである「読解力」にも関係することです。
テーマ…「少子高齢化」問題を解決する
①問題解決に行政がすべきこと
②自分ができること
①②の二つの要素が解答に含まれていなければ、大幅な減点となり不合格です。
2.構成メモを作成する
小論文を書くときは、いきなり解答用紙に書き始めずに必ず「構成メモ」を作りましょう。
構成メモは、問題用紙などの空いているスペースなどに走り書きでOKです。
では、例題について具体的に構成メモを作る手順を解説します。
ここでは志望分野のところを「教育」にして解説していきます。
書き出し(序論)の書き方
まずは書き出しの部分で、少子高齢化が引き起こす問題点をまとめます。
少子高齢化が引き起こす問題点
・現役世代の負担の増加
・外国人労働者の増加による治安の悪化
上記の問題点を加味した上で、少子高齢化の解決に向けて行政ができることを考えていきます。
問題点に対する行政の解決策
・出生率を上げる政策
序論はこのように「問題提起」で始めると、書き出しやすいのでオススメです。
本論の書き方
では、少子高齢化の問題点に対する行政の解決策である「出生率を上げる政策」を考えていきます。
行政の政策
・子育てに関する経済的な支援
子どもを持ちたくても持てない家庭の主な原因は、物価の上昇などによる経済的な不安定さであると考えます。
なので、行政は「子育て支援の充実」が急務であるといえます。
この時、具体的な自治体の取り組みを入れられると、説得力がまして高評価につながります。
このような情報を知っておくためには、普段から志望分野に関わるニュースに耳を傾けておくことが大切です。
また、「自分ができること」にも触れておきます。
自分ができること
・投票に行く
・自分も「保育士」となり子育て世代を支える
上記の「行政の政策」「自分ができること」がメインの内容なので、本論の部分でしっかり書いていきます。
結論の書き方
結論は希望を持たせる形で終えると、読後感がよく評価が落ちることもありません。
高齢世代への尊重を忘れず、私たちが支えていくという責任感を持って社会に貢献することが大切と私は考える。
今回は本論で基本的な考え方を述べているので、結論は短めで大丈夫です。
では、これらの構成メモを使って800字の小論文を書いていきます。
何度も言いますが、小論文は構成が絶対に必要です。
書き始める前に「構成メモ」を必ず書くようにしてください。
3.解答用紙に本書きする
構成メモができたら、小論文はほぼ完成したも同じです。
あとは構成メモを元に解答用紙に清書していきましょう。
解答用紙に書くにあたって、気をつけなければならないことは以下の通りです。
・「~だ」「~である」調に統一する
・「話し言葉」や「カタカナ語」に注意する
・一人称は男女とも「私」
・一文は短く簡潔に
・原稿用紙のルールを守る
このような基本的なところで減点されないように気を付けて、濃くはっきりとした丁寧な字で書きましょう。
少子高齢化の小論文の例文
前述した構成メモを使って書いた、少子高齢化の小論文の例文がこちらです。
例題
少子高齢化社会の解決に向けて行政がすべきことは何か。
また、あなたができることは何か。
800字以内で答えなさい。
日本は世界的に見ても少子高齢化の進んだ国である。少子高齢化が進むと、労働人口の減少による現役世代の負担の増加、外国人労働者の大量受け入れによる治安の悪化などの問題が発生する。私は、平均寿命が延びることは良いことであると思うので、問題は出生率の低下にあると考える。新世代の数が高齢世代を支えられるくらい増えれば、上記の問題点は解決するはずだ。では、具体的な解決策を述べる。
現在の日本社会は未婚率が高まり、結婚して家庭や子どもをもつことが困難になっている。その原因は、物価上昇や給料が上がらないなど、経済的な要因が大きい。まずは行政が子どもを持ちたいと思う未婚のカップルを、経済的に支援していくことが大切である。9年連続人口増加を実現した、兵庫県明石市では子育て支援が充実しており、具体的には子どもの医療費や保育料の無料化や、公共施設の入場料無料化などがある。「明石だから子どもを生むことができた」という人がニュースにも取り上げられていた。このような行政の支援を充実させることが、出生率増加の第一歩であると考える。しかし、「財源をどうするのか」という意見もあり、子育て支援を充実させるために、税率を上げるのは本末転倒だという問題点もあるだろう。財源を確保するためには、税金をどこに使うのか見直しが必要で、行政に最も求められる政策の一つである。個人単位で私ができることは、選挙でそのような子育て支援事業を掲げる立候補者や政党を支持し、投票活動を行うことである。また、私は将来、保育士になろうと考えており、国の未来を担う子どもたちを良い方向に導けるように取り組むつもりである。
少子高齢化の解決は個人単位と行政単位で取り組まなければならず、国の重要な課題であることを一人一人が意識しなければならない。そして、高齢世代への尊重を忘れず、私たちが支えていくという責任感を持って社会に貢献することが大切と私は考える。(800字)
小論文の時間配分の目安
800字/60分はスタンダードな制限時間と文字数ですが、その他の場合の時間配分の目安をまとめておきます。
時間 | 分析 | 構成 | 清書 | 見直し |
30分 | 5分 | 5~10分 | 10~15分 | 5分 |
60分 | 5~10分 | 15~20分 | 20~30分 | 5~10分 |
90分 | 5~15分 | 20~30分 | 30~40分 | 5~10分 |
120分 | 10~15分 | 25~30分 | 40~60分 | 15~20分 |
あくまで目安ですが、この通りに進めれば無理なく最後まで書き切ることができます。
問題を分析する
↓
構成をつくる
↓
解答用紙に清書する
↓
見直しをする
小論文は具体的に上記の手順にそって書いていくので、練習の時から意識するようにしましょう。
特に「構成メモ」を作る段階に時間をかけましょう!
少子高齢化の小論文の対策・勉強法
最後に少子高齢化の小論文の対策と勉強法の重要なポイントを解説していきます。
・SDGsと関連させて理解を深める
・小論文自体の勉強が一番大切
まず「少子高齢化」が頻出テーマであるからといって、入試小論文で必ず出るとは限りません。
「少子高齢化」については、前述している最低限の知識を入れておけば十分です。
もちろん一般教養として知識を身につけておけば入試以外でも活用できるので、少子高齢化について調べておくことは重要です。
SDGsと関連させて理解を深める
少子高齢化はSDGsの目標3番「すべての人に健康と福祉を」の一つに取り上げられています。
この目標は「すべての人に健康と福祉を」として、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」社会の実現を目指すものです。
どんな人間でも差別されることなく、最高水準の健康と適切な保健医療サービスを確保できるようにすることが目的で、少子高齢化とも密接に関連しています。
この目標と関連させた内容を小論文に入れることができれば、かなり高得点が期待できます。
小論文自体の勉強が一番大切
少子高齢化自体は「小論文の頻出テーマの一つ」に過ぎないので、小論文の書き方を勉強することが合格への近道です。
ページの最後に小論文の勉強法などを解説したページもありますので、ぜひ参考にしてください。
総合型選抜で受験予定の方へ
あなたが小論文を勉強する理由は、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)ですか?
だとしたら、専門の塾を検討することをおすすめします。
専門塾が必要な理由
・小論文対策は独学では難しい
・総合型選抜は学校や塾では対策困難
・各大学ごとに必要な対策が違う
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以上で本記事は終了です!
最後までご覧いただきありがとうございました!