こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
山月記のテストで高得点を取りたい!
今度のテストで「山月記」が範囲なんだけど、さっぱり分からなくて困っています…。
現役国語教師の僕が、山月記をわかりやすく解説します!
現在私立高校で国語の教師をしており、実際に「山月記」の授業を何度も担当し、テストも5回以上作っている僕が徹底解説します。
このページを読めば「山月記」のテスト対策はバッチリなので、テスト前に何度も読み返してください。
・山月記のあらすじ解説
・山月記のテストに出る問題
・山月記の感想文の書き方(例文)
実際に山月記のテストを作っている国語教師が、重要ポイントを徹底解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
山月記のあらすじ解説
山月記とは、1942年に文芸雑誌の「文學会」に発表された中島敦の作品です。
清朝の説話集「唐人説薈」にある「人虎伝」という話が題材になっており、「山月記と人虎伝」を読み比べて比較するという授業も行われています。
夏目漱石の「こころ」や芥川龍之介の「羅生門」と並んで、高校現代文の定番作品です。
山月記の簡単なあらすじ(200字)
山月記の内容を200字程度でざっくり要約すると、以下のようになります。
優秀で能力が高い主人公・李徴は、プライドも高く役人としての職になじめなかった。
詩の才能もあるので詩人として名を遺そうとしたが、全く売れず、生活が苦しくなった。
家族のために元の役人に戻ったが、下っ端となりプライドはズタボロ。
そんな生活に耐えきれず、発狂して虎になってしまった。
そんな李徴の苦悩や後悔を、唯一の友人である袁傪に告白し、完全なる虎になる前に、人間としての尊厳を回復する物語。 (200字)
う~ん。昔の中国の役人とか詩とか、全然なじみがないから頭に入ってこない…。
山月記の主人公である李徴(りちょう)の状況を、現代風にするとこんな感じかな!
①東京大学を卒業した優秀な「李徴」は、エリート官僚になったが、実際の仕事は政治家にゴマをすってご機嫌をとるという、つまらないものだった。
②プライドが高い「李徴」は耐えられなくなり、仕事をやめて音楽で有名になるためにミュージシャンになった。
③ミュージシャンとしての「李徴」は全く売れず、家族の生活のために元の職場に戻った。
④今まで見下していた同僚はみんな出世しており、「李徴」は下っ端となり命令を聞く立場に…。
⑤プライドが高い「李徴」はその生活に耐えられず、ついに発狂して、虎になってしまった。
⑥そんな「李徴」は、友達の「袁傪」と偶然再会し、虎としての苦悩や後悔を語り、去って行った。
山月記は長いですが、登場人物は2人しかおらずほとんど主人公の李徴が自分のことを語るという形式なので、場面転換も少なく状況を理解しやすい作品です。
ただ、難しい言葉や「詩」や「役人」などのなじみのない設定が山月記を難しい話のように思わせるのです。
言葉の意味をしっかりと抑えれば、山月記は全然難しくありません!
山月記の登場人物
山月記の登場人物は2人しかいないので、カンタンに覚えることができます。
・主人公「李徴(りちょう)」
・李徴の友人「袁傪(えんさん)」
この2人の登場人物は、対照的に描かれており、性格や人生が真逆になっています。
李徴の性格
山月記の主人公である「李徴(りちょう)」は、登場時にはすでに「虎」になっています。
李徴は学力・知力・芸術などの面で優れた才能に恵まれた人物で、超難関試験「科挙」に一発で合格する天才です。
性格的には、頑固で協調性がなく、プライドが高い。
「詩」に対する絶対的な自信があり、「詩」で後世に名を遺すことに以上に執着している。
李徴の性格を表す重要語句
(テストによく出る!)
・博学才穎(はくがくさいえい)
知力が並外れて優れていること
・狷介(けんかい)
自分の考えに固執し、他人と協調しないこと
・自ら恃(たの)むところすこぶる厚く
プライドが高い
・峻峭(しゅんしょう)
厳しく、きついこと
「能力もプライドも高く、協調性に欠ける人」というのが、主人公「李徴」の人となりです。
袁傪の性格
李徴の最も親しい友人が「袁傪(えんさん)」です。
李徴と同期で順調に出世し、皇帝の命令を受けるまでになります。
性格は温厚で優しく、性格の厳しい李徴とぶつからずに上手くやっていけるコミュニケーション能力の高い人物です。
また、虎となった李徴が急に出てきても、うろたえることなく受け入れる冷静さも持っています。
袁傪の性格を表す重要語句
・温和
おとなしくて優しいこと
「優しく、冷静でコミュ力の高い人」というのが、友人ポジションの袁傪の人となりです。
山月記の主題(テーマ)
山月記のテーマに関しては、作者のみ知るところなので個人の考察の域を出ませんが、国語教師の僕の一意見として見解を述べておきます。
山月記のテーマを問う問題は、テストにほとんど出ませんので、急ぎの人は次の「テスト問題」に進んで大丈夫です!
山月記の主題(テーマ)
・人生の不条理
あとで詳しく解説しますが、山月記の中で「李徴が虎になった理由」は明確に描かれていません。
いくつか李徴の中で心当たりがあるのですが、「人が虎になる」という不条理を納得させるようなものではありません。
それでも、何か「理由」を見つけてそれで納得せざるを得ないというのが人生の不条理であり、それが李徴を通して描かれていると思います。
人は説明できない不条理に直面したとき、自分の中で納得できる理由を探してそれを答えにせざるを得ない、という作者の意図を僕は感じます。
山月記の作者(中島敦)について
山月記の作者である「中島敦」は、日本文学界でも重要人物なのでテストの問題になる可能性は十分にあります。
山月記のテストで高得点を取るために必要な「中島敦」の情報をまとめましたので、参考にしてください。
中島敦の経歴
・東京生まれ
・東京大学文学部卒業
・8年間国語の教師を勤める
・1942年に「山月記」でデビュー
・小説集「光と風と夢」を出版
・33歳で死去
同じ国語の教師として中島敦さんを尊敬しています。
33歳って結構若いのに、亡くなったんですね…。
では、ここからは「山月記」のテストによく出る問題について解説していきます!
山月記のテスト問題
実際に山月記のテストを何度も作っている、現役国語教師の僕がテストに出る問題を徹底解説します。
基本的に出題する問題は決まっているので、これを完璧にすればテストで8割は固いと思います。
解説するのは「重要漢字」「重要語句」「内容問題」の3つです。
山月記の重要漢字15選
次の傍線部の漢字を書きなさい。
①オウネンの名選手。
②身をヒルガエす。
③谷川にノゾむ。
④ネンゴろに別れを告げる。
⑤シュウアクな姿。
⑥土砂にマイボツする。
⑦作品にシュウチャクする。
⑧シュクゼンとする。
⑨オクビョウな性質。
⑩タイダな生活をおくる。
⑪山野をソウサクする。
⑫ヒンキュウにあえぐ。
⑬ザンギャクな行いをする。
⑭意見がショウトツする。
⑮技をミガく。
これらの問題は、僕が実際にテストに出した漢字です。
もちろん、書き取りだけでなく読みも出題していますが、書ければ読めますので、上記の15問は完璧にしましょう。
解答
①往年 ②翻 ③臨 ④懇 ⑤醜悪
⑥埋没 ⑦執着 ⑧粛然 ⑨臆病
⑩怠惰 ⑪捜索 ⑫貧窮 ⑬残虐
⑭衝突 ⑮磨
山月記の重要語句10選
山月記は難しい言葉が多く出てくるので、意味を問う問題も出題されます。
僕が意味を問う問題としてテストに出した語句は、以下の通りです。
山月記の重要語句10選
・甘んずる
・焦燥
・歯牙にもかけない
・身を翻す
・おめおめと
・あさましい
・畏怖嫌厭
・そらんずる
・慟哭
・懇ろ
甘んずる
「甘んずる」の意味
十分だと思う。満足する。
「賤吏に甘んずるを潔しとしなかった」
→身分の低い役人でいることに、満足できなかった。
焦燥
「焦燥(しょうそう)」の意味
思うようにことが運ばなくて、焦ること。
「李徴はようやく焦燥に駆られてきた」
→李徴は詩が売れず、ようやく焦りが出てきた。
歯牙にもかけない
「歯牙(しが)にもかけない」の意味
力のないものとして全く問題にしない。
「鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、」
→頭の働きなどのにぶい人として、全く問題にしていなかった連中の命令を聞かなければならないことが、
身を翻す
「身を翻(ひるがえ)す」の意味
からだの向きを素早く変える。
「たちまち身を翻して、元の叢に隠れた。」
→たちまちからだの向きを素早く変えて、元の草むらに隠れた。
おめおめと
「おめおめと」の意味
恥ずべきことと知りながら、そのままでいるさま。
「どうしておめおめと故人の前にあさましい姿さらせようか」
→どうして恥ずべきことと知りながら、友人の前にみじめな姿をさらすことができようか、いやできない。
あさましい
「あさましい」の意味
見苦しく情けない。みじめだ。
「こんなあさましい身となり果てた今でも、」
→こんな見苦しく情けない身となってしまった今でも、
畏怖嫌厭
「畏怖嫌厭(いふけんえん)」の意味
おそれ、嫌がること。
「必ず君に畏怖嫌厭の情を起こさせるに決まっているからだ」
→必ず君におそれ、嫌がる感情を起こさせるに決まっているからだ。
そらんずる
「そらんずる(誦んずる)」の意味
書いたものを見ないでそのとおりに言う。
「経書の章句を誦んずることもできる。」
→経書の内容を見ないで言うこともできる。
慟哭
「慟哭(どうこく)」の意味
悲しみのために、声を上げて激しく泣くこと。
「草中から慟哭の声が聞こえた」
→草むらの中から、悲しみのために激しく泣く声が聞こえた。
懇ろ
「懇ろ(ねんごろ)」の意味
心がこもっているさま。
「懇ろに別れの言葉を述べ、」
→心を込めた別れの言葉を伝え、
山月記のテスト対策問題15選
山月記のテストのメインとなる内容問題について解説していきます。
記述や抜き出しなど問題の形式は先生によって様々ですが、要点をおさえておけばどのような形式で出題されても対応できます。
では、山月記のテストを5回以上作ってきた現役国語教師が実際にテストに出した問題を厳選して15個解説します。
第一段落の問題
問
「一年の後、公用で旅に出、如水のほとりに宿ったとき、ついに発狂した」とあるが、李徴の発狂までの経緯をまとめなさい。
解答
文名が揚らず生活が苦しくなり、焦燥に駆られる。己の詩業に半ば絶望する。自尊心を傷つけられて怏々とする。発狂する。
第二段落の問題
問
「叢の中から人間の声で『危ないところだった。』と繰り返しつぶやくのが聞こえた」とあるが、なぜか。
解答
袁傪を友と気が付かずに食ってしまうところだったから。
問
「そのとき、袁傪はこの超自然の怪異を、実に素直に受け入れて、少しも怪しもうとしなかった」とあるが、なぜか。
解答
かつての友であった李徴と同じ語調に、人間の李徴を感じ、懐かしく思い、おそれや疑いの感情を抱かなかったから。
第三段落の問題
問
「自分はすぐに死を思うた」とあるが、なぜか。
解答
人間が運命に翻弄されるだけの無力な存在なら、生きること自体に意味がないと絶望したから。
問
「これは恐ろしいことだ」とあるが、なぜか。
解答
人間としての立場でものを考える視点が逆転していて、徐々に虎に近づいてしまったことを示す考え方だったから。
問
「ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように」という比喩表現は、何を表しているか。
解答
人間の心が、次第に獣としての習慣の中に埋もれて失われていくこと。
問
「俺はしあわせになれるだろう」とあるが、なぜか。
解答
完全な虎になってしまえば、己の残虐な行いを後悔し、己の人間としての運命を振り返る苦悩からも解放されるから。
第四段落の問題
問
李徴の詩の中から、李徴の心情を最も強く表現している一句を抜き出し、その心情が分かるように現代語訳しなさい。
解答
「不成長嘯但成噑」
長く声を引いて詩を吟じるのではなく、ただ虎としてほえるばかりである。
第五段落の問題
問
「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」とは、どのような心理を表したものか。
解答
強すぎる自尊心ゆえに、自尊心が傷つけられることに極度に臆病になっておびえる心理。
己が傷つくことを恐れる強すぎる羞恥心ゆえに、それを他者に悟られまいとわざと尊大な態度をとって他人との関わりを避ける心理。
問
「『珠』と『瓦』とは、それぞれどのようなことの比喩か。
解答
「珠」…才能に優れていること(人)
「瓦」…才能のないこと(人)
問
「人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣に当たるのが、各人の性情だと言う」とは、どのようなことか。
解答
人は誰でも各自の内面に猛獣のような欲望や心情を飼いならして生きており、扱いを間違うと身を滅ぼす場合もあるということ。
問
「俺の空費された過去は?」とあるが、それはどのような過去か。
解答
「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」から、自分の才能を伸ばす努力をせず、「卑怯な危惧と刻苦をいとう怠惰」終始してしまった過去。
問
「俺の毛皮のぬれたのは、夜露のためばかりではない」とは、どのようなことか。
解答
李徴が涙を流したということ。
第六段落の問題
問
「決して今日のことだけは明かさないでほしい」とあるが、なぜそのように頼むのか。
解答
みじめな自分の運命を知らせることで、妻子を苦しみ嘆かせたくないとともに、自分の最後の人間としての尊厳だけは保っておきたかったから。
問
「本当は、まず、このことのほうを先にお願いすべきだったのだ、俺が人間だったなら」とあるが、ここでの「人間」とはどのような意味か。
解答
自分個人のことは後回しにして、愛するものを守るのが人間であるという意味。
第一段落…1問
第二段落…2問
第三段落…4問
第四段落…1問
第五段落…5問
第六段落…2問
これは第三段落と第五段落がよく出るってことですか?
その通り!
山月記は第三段落・第五段落が重要な部分なのでテストに出やすいと言えます!
山月記の感想文の書き方
山月記の授業が終わる頃に「感想文」を求められることはよくあります。
こうした感想文も実は成績評価の1つに含まれているので、できれば高評価を取りたいですよね。
ここでは、山月記の授業を何度も行い、200人以上の感想文を採点してきた僕が「高評価をもらえる山月記の感想文」の書き方を解説します。
・李徴の生き方と自分を照らし合わせて書く
・「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」を理解しているか
これが内容に入っているかどうかが、高評価の分かれ道です。
特に「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」を理解して、自分の行き方に当てはめることが大切です。
山月記の感想文の例文(400字)
私は山月記を最初に一読したとき、李徴と言う人間を理解することができず虎になったことは自業自得ではないかと思っていた。
しかし、山月記の授業を終えて李徴という人物と自分の生き方で重なる点があると思うようになった。李徴を表す言葉として「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」がある。私は部活で表面的に自分には才能があると思いつつも、全力を出すと自分の限界が人に知られるのではないかと恐れて手を抜いてしまうことがある。また、友人やクラスメイトを接する中で仲良くなりたいと思う反面、自分の内面に踏み込まれるのが怖く、あえてそっけない態度をとってしまうこともある。これは「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」を自分も抱えているということである。
人間の心の中には欲望や見栄などの「猛獣」がいて、それに飲み込まれると生きずらくなってしまうので、友人や周りの人を大切に謙虚に生きていこうと考えさせられた作品であった。(400字)
「最初に読んだ時と、授業後で山月記の物語や李徴の見方が変わった」という内容を入れれば、「先生の授業で理解できました」というアピールになるのでポイント高いです。
山月記では「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」を理解しているかが評価点の一つなので、必ず内容に入れましょう。
最後に、山月記を通して「自分の人生に生かせるようにする」という内容を入れれば完璧です。
「人が虎になるのが面白かった」
「李徴がかわいそうだと思った」
これは内容の薄いNG感想文で、評価が低くなるので注意してください。
現代文のお悩みをすべて解決します!
以上で本記事は終了です!
最後までご覧いただきありがとうございました!