こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
「こころ」のテストで高得点を取りたい!
今度のテストで夏目漱石の「こころ」が出るんだけど、まったく分からなくて困っています…。
現役国語教師の僕が、「こころ」を徹底的に解説します!
現在私立高校で国語の教師をしており、実際に夏目漱石の「こころ」の授業を何度も担当し、テストも5回以上作っている僕が徹底解説します。
このページを読めば「こころ」のテスト対策はバッチリなので、テスト前に何度も読み返してください。
・こころのあらすじ解説
・こころのテストに出る問題
・こころの感想文の書き方(例文)
実際に「こころ」のテストを作っている国語教師が、重要ポイントを徹底解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
こころの簡単なあらすじ解説
夏目漱石の「こころ」は、上・中・下の三部作で、作品を通して主人公「私」の手記(自分語り)という構成になっています。
「こころ」は三部作
・上巻「先生と私」
・中巻「両親と私」
・下巻「先生と遺書」←テスト範囲!
高校では「文学国語」の教科書に収録されており、下巻の「先生と遺書」が中心に掲載されています。
基本的に下巻の「先生と遺書」の内容を理解していれば、テストで高得点を取ることは可能です。
しかし、三部作の大まかな流れを把握しておくことが、下巻の「先生と遺書」の内容を理解する助けになるので、簡単に上・中・下のあらすじを解説します。
上巻「先生と私」のあらすじ
主な登場人物
・「私」…高校生
・「先生」…実際の教師ではなく「私」がそう呼んでいる大人
主人公「私」は高等学校の学生で、夏休みを利用して出かけた鎌倉の海岸で「先生」と出会う。
「私」と「先生」はそこで仲良くなり、「先生」の家に出入りするようになった。
「先生」は奥さんと二人で暮らしていて、頭もよく大学を卒業しているのに無職であった。
「先生」はどこかしら影を落とすような雰囲気で、何か隠し事をしているようだった。
「私」は「先生」の過去が気になるが、「先生」はなぜか自分の過去を語ろうとしなかった。
引っかかりを感じていた「私」に対して、「先生」は時が来たら自分の過去を全て話すと約束した。
中巻「両親と私」のあらすじ
主な登場人物
・「私」…高校生→大学生→卒業
時は流れ、大学を卒業した「私」は故郷へ帰った。
明治天皇の崩御と乃木大将の殉死が報じられ、「私」の父の容態が次第に悪くなり始め、寝たきりとなった。
そんな時、「私」宛に「先生」から分厚い手紙が届いた。
「先生」の手紙には「この手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもうこの世にはいないでしょう」と書かれていた。
その手紙は「先生」の「遺書」であった。
「私」はその手紙を読み始めた。
テストに出るのは、まるまる「先生の遺書」の内容です!
下巻「先生と遺書」のあらすじ
主な登場人物
・「先生」…大学生、ここからの「私」は「先生」のことを指す
・「K」…幼い頃からの「先生」の友人、真宗寺の子
・お嬢さん…「先生」と「K」の下宿先の娘
私は20歳にならない頃に両親を亡くし、故郷の新潟を離れ、東京の高等学校へ入学した。
故郷の家には叔父一家が移り住み、叔父に遺産の管理も全て任せていたが、叔父は財産を誤魔化しており、その経験から私は人間不信に陥った。
故郷には二度と戻らない都父母の墓に近い、上京した私は下宿先のお嬢さんに心が惹かれていく。
そこにもう一人の男「K」が同居することになる。
「K」は幼い頃からの私の友人で、医者の家に養子になり医者を目指すように言われるが、それを拒否し絶縁された過去をもつ。
身寄りのなくなった「K」を私が同じ下宿先に誘い、私、K、お嬢さん、奥さん(お嬢さんの母)の4人で生活することになった。
ここまでが、教科書ではダイジェストになっています。
ここからがテスト範囲になる内容です。
正月のある日、「K」が私にお嬢さんと奥さんのことをしきりに質問してきた。
不思議に思い理由を聞くと、なんと「K」はお嬢さんに恋をしていると私に告白する。
私もお嬢さんに恋をしているので「先を越されたな」と思ったが、それを「K」に告白するタイミングを失ってしまった。
私はそれから、恋という感情を持って動揺している無防備な「K」に友人としてアドバイスをするのではなく、打ち倒そうと考えた。
私は「精神的に向上心のないものはばかだ」というセリフを「K」に言った。
これは以前「K」が自分で言った言葉であり、私は「K」にとって大ダメージを与えられ、お嬢さんへの恋を諦めるだろうと考えた。
ここちょっとよく分からないです。
「ばか」って言われたから何?って感じ。
解説します!
・「精神的に向上心のないものはばかだ」とは?
「K」は真宗寺という厳しい戒律のある家の生まれである。
そのため「K」は「道のためにはすべてを犠牲にすべき」という信念を持っている。
「道」とは真宗寺の仏道修行のことで、「恋心」も例外ではない。
「道」を極めらければならないのに、「恋」という煩悩に走ろうとしている「K」に私は、
「お前の信念はその程度のものか」
「恋などにうつつを抜かすなど、ばかのやることではないのか」
と追い打ちをかけ、お嬢さんへの気持ちを諦めさせようとした。
私は「K」を出し抜いて、「K」のいないうちに奥さんとお嬢さんに結婚を申し込んだ。
私は罪悪感から「K」に結婚のことを打ち明けられなかったが、奥さんから「K」に結婚のことを話したと教えられる。
奥さんから打ち明けられた時「K」は、「そうですか」と言って取り乱すこともせず落ち着いた様子だったらしい。
私は「K」の態度に、自分は策略で勝っても人間としては負けたと感じ、敗北感を味わう。
私は「K」に謝罪するタイミングを見計らっているうちに、「K」は遺書を遺して自殺してしまった。
私は「K」の遺書に自分に対する恨み言が書かれていなかったことに安堵したが、自分の運命の恐ろしさに、ただなす術もなくうろたえるばかりであった。
私は今日まで妻(お嬢さん)のために生きてきたが、乃木大将の殉死を知り、自分も明治の精神に殉死しようと思い、自殺するという内容で手紙は締めくくられた。
ここまでが「こころ」の簡単なあらすじです!
こころの簡潔な200字要約
「こころ」の内容を200字程度でざっくり要約すると、以下のようになります。
学生の「私」が親しくなった「先生」は、どこか曇りのある人だった。
「私」が大学を卒業した夏、「先生」から遺書が届く。
内容は、「先生」が若い頃下宿先のお嬢さんに恋をしたが、親友のKもまた恋をしていた。
それを知ってKを出し抜きお嬢さんと婚約するが、その直後Kは自殺した。
「先生」は罪悪感にさいなまれつつ今日まで妻のために死んだ気で生きてきたが、乃木大将の殉死のように明治の精神に殉死するというものであった。
(200字)
大長編の三部作を200字にまとめたので、かなり省略していますが要約の問題が出たらこれを参考にしてください。
こころのあらすじ解説動画
「中田敦彦のYouTube大学」というYouTubeチャンネルの「こころ」の解説動画がかなり分かりやすく、芸人のあっちゃんが親しみやすいので、よく授業でも活用しています。
もし、文字ではなく動画でも解説が欲しいという人は、参考にして下さい。
ちなみに動画にテスト問題の解説などはありませんので、テストの解説が見たい方は、次の目次で解説しています。
【こころの解説動画①】
【こころの解説動画②】
こころの作者(夏目漱石)について
「こころ」の作者である「夏目漱石」は、日本文学界でも重要人物なのでテストの問題になる可能性は十分にあります。
「こころ」のテストで高得点を取るために必要な「夏目漱石」の情報をまとめましたので、参考にしてください。
夏目漱石で覚えること
・主な著書
「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「草枕」
「私の個人主義」「明暗」
「三四郎「それから」「門」
・「則天去私(そくてんきょし)」の考え方
天にのっとって私心を捨てること。 我執を捨てて自然に身をゆだねること。 晩年の夏目漱石が理想とした心境。
では、ここからは「こころ」のテストによく出る問題について解説していきます!
こころのテストによく出る問題
実際に「こころ」のテストを何度も作っている、現役国語教師の僕がテストに出る問題を徹底解説します。
基本的に出題する問題は決まっているので、これを完璧にすればテストで8割は固いと思います。
解説するのは「重要漢字」「重要語句」「内容問題」の3つです。
こころの重要漢字15選
次の傍線部の漢字を書きなさい。
①エシャクして外へ出た。
②私はさほどのキュウクツを感じなかった。
③糸は何のヨウシャもなく切れてしまった。
④迷惑ともケンオとも片づけられない。
⑤胸に一物があって、ダンパンしに来た。
⑥起きろというサイソクを受ける。
⑦あらかじめ話してショウダクを得る。
⑧今散歩をしたときの私をカイコしてみる。
⑨リンリ的に弱点を持っている。
⑩奥さんに理由をキツモンされる。
⑪セケンテイの上だけで助かった。
⑫明治天皇がホウギョになった。
⑬ほかの人にとっても、トロウではなかろう。
⑭威張った口のきけるキョウグウではない。
⑮私の受けたそのときのショウドウ。
これらの問題は、僕が実際にテストに出した漢字です。
もちろん、書き取りだけでなく読みも出題していますが、書ければ読めますので、上記の15問は完璧にしましょう。
解答
①会釈 ②窮屈 ③容赦 ④嫌悪 ⑤談判
⑥催促 ⑦承諾 ⑧回顧 ⑨倫理 ⑩詰問
⑪世間体 ⑫崩御 ⑬徒労 ⑭境遇 ⑮衝動
こころの重要語句10選
こころは難しい言葉が多く出てくるので、意味を問う問題も出題されます。
僕が意味を問う問題としてテストに出した語句は、以下の通りです。
こころの重要語句10選
・きびすを巡らす
・平生
・眉が曇る
・果断
・色を失う
・拘泥
・面目(が)ない
・超然
・路傍
・時勢
「きびすを巡らす」の意味
後戻りする。引き返す。
「平生」(へいぜい)の意味
常日頃。普段。
「眉が曇る」(まゆがくもる)の意味
悩みや不快な気持ちが表情に出る。
「果断」(かだん)の意味
思い切って行うさま。
「色を失う」の意味
驚いたり恐れたりして、顔が青ざめる。
「拘泥」(こうでい)の意味
こだわること。
「面目ない」(めんぼくない)の意味
恥ずかしくて人に顔向けできない。
「超然」(ちょうぜん)の意味
物事にこだわらず、平然としているさま。
「路傍」(ろぼう)の意味
道端。
「時勢」(じせい)の意味
時代。そのとき。
こころのテスト対策問題13選
こころのテストのメインとなる内容問題について解説していきます。
記述や抜き出しなど問題の形式は先生によって様々ですが、要点をおさえておけば、どのような形式で出題されても対応できます。
では、こころのテストを5回以上作ってきた現役国語教師が実際にテストに出した問題を厳選して13個解説します。
問一
「実際の方面」とはどうすることか?
解答
Kがお嬢さんに恋を告白するなど、恋に対して実際的な行動をすること。
問二
「彼は進んでいいか退いていいか、それに迷うのだと説明しました」とあるが、この場合の進むと「退く」はそれぞれどのような意味か。
解答
「進む」…お嬢さんへの恋を実現する方向へ進むこと。
「退く」…お嬢さんへの恋を断念すること。
問三
「理想と現実」とあるが、それぞれどのような内容か。
解答
理想…「道」
現実…「恋」
問四
なぜ「精神的に向上心のない者はばかだ」という言葉で、Kの恋を阻止できると「私」は考えたのか。
解答
「私」からの侮辱だけでなく、過去の自分からも侮辱を受けることになり、Kはその自己矛盾に耐えられないだろうと考えたから。
問五
「ばかだ」「ぼくはばかだ」と繰り返したKの心情を答えよ。
解答
精神的に向上心がない、つまり恋のために「道」を踏み外そうかと迷っている自分を責める心情。
問六
「私」がKに求めた「覚悟」とはどんな覚悟か。
解答
恋を捨てる覚悟。
問七
「投げ出すことのでききないほど尊い過去」とはどのような過去か。
解答
「道のためにはすべてを犠牲にすべきものだ」という「第一信条」に基づいて精進してきた過去。
問八
「最後の決断」とは何をすることか。
解答
お嬢さんとの結婚を申し込むこと。
問九
「私の自然のすぐそこで食い止められてしまった」のはなぜか。
解答
奥には人がいたので「私」がKに謝罪するのを奥さんとお嬢さんに知られることを恐れたから。
問十
「何も知らないK」「何も知らない奥さん」とあるが、それぞれ何を知らないのか。
解答
「K」…「私」がKを出し抜き、奥さんにお嬢さんとの結婚を申し込み、承諾を得たこと。
「奥さん」…Kがお嬢さんに恋をしていることと、「私」が知りながらKを出し抜いて結婚を申し込んだこと。
問十一
「最後の打撃」とは、どのようなことを表しているのか。
解答
「私」とお嬢さんの婚約が、Kの恋を終わらせ、Kが自殺する原因になったこと。
問十二
「もっと早く死ぬべきだのに」という表現には、Kのどういう心情が表れているか。
解答
お嬢さんに恋心を抱いた時点で「道」を外れていたのだからそこで死ぬべきだった、という心情。
問十三
「わざとそれ(Kの手紙)をみんなの目につくところに」置いたのはなぜか。
解答
Kの自殺と自分とが無関係であることを示すため。
こころの感想文の書き方
こころの授業が終わる頃に「感想文」を求められることはよくあります。
こうした感想文も実は成績評価の1つに含まれているので、できれば高評価を取りたいですよね。
ここでは、こころの授業を何度も行い、200人以上の感想文を採点してきた僕が「高評価をもらえるこころの感想文」の書き方を解説します。
・人の「こころ」に着目する
・自分の人生における友情や恋愛に絡める
これが内容に入っているかどうかが、高評価の分かれ道です。
こころの感想文の例文(400字)
私は「お嬢さん」という人物に焦点を当てて感想を述べようと思う。先生やKの自殺は、この「お嬢さん」という人物を巡って起こったものであるが、当のお嬢さん本人の気持ちや意思があまり描写されていない。私はお嬢さんにもKの自殺の原因になる行動があったのではないか、と考える。
Kがお嬢さんを好きになるほど、お嬢さんはKに対して優しく接し過ぎていたのではないかと思う。お嬢さんを責めるのはおかしいかもしれないが、現代でもこのような男女のすれ違いというものは起きる。私は過去に、優しくしてくれた異性に対して恋心を抱いたが、それは私の勘違いということがあった。お嬢さんの振る舞いも、この悲劇の大きな要因になったのは間違いない。
ここから学べることは、人の本心というものは当人にしか分からず、言葉にしなければ伝わらないということだ。先生とKの関係も、お嬢さんを取り巻く三角関係も同じである。それを肝に銘じて生きていきたい。(400字)
あまり描写されない「お嬢さん」に焦点を当てた感想文です。
物語の表面上の理解だけでなく、自分なりの視点から考察を入れると評価が高くなります。
最後には、自分の今後にどう活かしていくかという話題で終われば、読後感もスッキリし印象も良くなります。
「友情は大切だと思った」
「どんなことがあっても自殺はいけないと思った」
これらは確かにそうなんですが、一般論すぎて個人の感想としては評価が低くなります。
現代文のお悩みをすべて解決します!
以上で本記事は終了です!
最後までご覧いただきありがとうございました!