こんにちは!
高校教師の新堂ハイクです!
古文単語の覚え方が分からない…。
古文を読解するために避けて通れないのが古文単語ですが、古文単語はクセが強いものが多く、なかなか覚えられないという人も多いですよね。
古文単語はゴロ合わせで覚えた方が良いって聞いたけど、本当ですか?
現役で高校の国語教師をしており、特進クラスで受験古文を教えている僕はゴロ合わせで古文単語を覚えるのは良くないと生徒に教えています。
もちろん、人によってはゴロ合わせが覚えやすいという人もいますが、長い目で見るとゴロ合わせは非効率なのです。
「なぜゴロ合わせが非効率なのか」「じゃあどうやって覚えればいいのか」をこのページでは解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
・覚えるべき古文単語の数
・古文単語の効率的な覚え方
・古文単語のNGな覚え方
・入試によく出る古文単語
・オススメの参考書と勉強法
著者 新堂ハイク 29歳 ・現役高校教師 勤続8年(特進クラス担任) ・難関大受験、小論文指導実績500人以上 ・教育メディア運営6年(月間10万PV) ・執筆300記事以上、掲載企業50社以上 実際の教育現場にいる現役教師にしか分からない、リアルな情報をお届けします!
覚えるべき古文単語の数
古文の単語帳を見たことがある方は分かると思いますが、古文の覚えるべき単語数は英単語に比べてかなり少ないです。
英単語って2000語くらい覚えないといけないですよね?
古文も同じくらいですか?
古文は、最大でも英単語の3分の1以下の単語数でOKです!
古文単語の覚える数
共通テスト、私学一般 | 300語 |
難関大一般 | 600語 |
古文で使われる単語は、現代語と同じ意味のものも多いので300語程度覚えればだいたいの文章は読めます。
共通テストでのみ古典を使うという人や、最難関レベル以外の私学を受験する人は300語程度で十分OKです。
国公立大学や最難関私学を受験する人で、記述式の古文のテストがある人でも600語程度覚えれば読めないということはありません。
古文はフィーリングで読むと失敗する
わたし結構物語の流れをつかむの得意だから、単語覚えてなくても割と古文読めちゃうんだよね~。
現代文が得意な人にありがちな考え方ですが、入試の古文はこのようにフィーリングで読むと間違えるように作問されています。
共通テストのみ古文を使うという人でも、古文単語の暗記は必須です。
量も少ないので確実に覚えて、しっかりとした根拠をもって古文を読解するようにしましょう。
古文単語は1冊の参考書を完璧にする
古文単語は覚える数が少ないので、参考書の収録語はどれもほぼ変わりません。
詳しく後述しますが、古典単語はイメージで覚えるのが大切です。
古文単語は、単語帳によって単語を暗記する際のイメージのさせ方が異なるので、これと決めた1冊を完璧に頭に入れるのが、効率的な暗記の第一歩です。
古文単語のNGな覚え方
古文単語のNGな覚え方は、以下の通りです。
・ゴロ合わせで覚える
・現代語訳を丸暗記する
「ゴロ合わせで覚える」ことをメインとした単語帳は多く販売されていますが、国語教師としてはゴロ合わせで覚えるのはオススメできません。
現在ゴロ合わせを使って古文単語を覚えているという人は、自分の勉強法を見直すきっかけにしてもらえたらと思います。
ゴロ合わせで覚えるのはNG
読解に時間がかかる
ゴロ合わせのデメリットは何と言っても、読解に時間がかかるという点です。
特に共通テストで古文を使うという人は、ゴロ合わせで覚える方法から脱却した方が良いです。
なぜなら、共通テストの古文は「膨大な量の文章を短時間で読解する」能力が必要だからです。
ゴロ合わせで古文単語を覚えていると、読解の方法がこのようになります。
ゴロ合わせは読解に時間がかかる
①古文単語を認識する
↓
②ゴロ合わせを思い出す←時間のロス
↓
③意味を思い出す
ゴロ合わせで覚えている人は、②「語呂合わせを思い出す」という1つ無駄な時間のロスを強いられることになります。
これが共通テストなどの、時間制限がシビアな入試では致命的になりかねません。
もちろん、古文単語が苦手で「ゴロ合わせでもしないと覚えられない!」という人はゴロ合わせでもいいと思います。
ただ、長い目で受験を見すえたときに、ゴロ合わせだと不利になることがあるので僕はオススメしません。
現代語訳を丸暗記するのはNG
文章中で使われている古文単語は、わりと曖昧な意味で訳されることが多く、文脈に合わせて柔軟な対応が求められます。
例「わざと」
①わざわざ
②特に、とりわけ、格別に
③正式な、本格的な
この「わざと」という単語が文章中で使われるときの、曖昧な訳の例をあげます。
例文
わざとならぬ匂ひひしめやかにうち薫りて、
訳
ことさらではない香の匂いがしっとりと薫って、
(徒然草 三二段)
例のように文脈のニュアンスを読み取って、柔軟な訳をしなければならないのが古文です。
ただただ丸暗記をするだけでは、対応できない場合があるので丸暗記もオススメできません。
覚えるの300語だけだから余裕!って思ってたけど意外とややこしいんですね…。
ゴロ合わせもダメなら、どうやって覚えたらいいんですか…?
心配いりません!
僕が特進クラスで受験古文を教えるときの「効率的な古文単語の覚え方」を解説します!
古文単語の効率的な覚え方
覚えるべき古文単語は300語程度で、すぐに覚えてしまえると思いますが、1つの単語に意味が複数あったりするので意外と覚えずらいです。
例「おとなし」
①大人らしい、大人びている
②思慮分別がある、落ち着いている
③主だっている、年配で中心的な立場である
え、1つの単語にこんなに意味があるんですか?
しかも、全部覚えるんですか?
大丈夫です。実は意味を全部完璧に覚えなくてもOKなのが、古文単語なんです。
その理由とともに、古文単語の効率的な覚え方を解説します。
・単語のイメージをおさえる
・単語の意味のプラス、マイナスをとらえる
・漢字や語源から覚える
・現代語とのギャップを使って覚える
単語のイメージをおさえる
単語のイメージ…?
イメージで覚えるってどういう事ですか?
「単語をイメージで覚える」ことの例をあげます。
例「うしろめたし」
①気がかりだ、心配だ
②うしろめたい
イメージ
「後ろの方が気がかりだ」
→心配だ
「うしろめたし」にはそのままの現代語の意味もありますが、「心配だ」という現代語にはない意味もあります。
その場合、単語のイメージとして「後ろが気がかりな感じ」と覚えておくと文脈から意訳する場合でもスムーズに行えます。
例2「おどろく」
①驚く
②目を覚ます
イメージ
「驚いて目を覚ます」
このように単語のイメージを頭に入れておくと、バラバラに意味を覚えるよりもスムーズ覚えることができます。
特に、意味がいくつもある単語の場合に有効な覚え方です。
単語の意味のプラス、マイナスをとらえる
古文単語は同じような響きの単語が多く、意味が混同してしまうことが多々あります。
そういう時には、プラス(良い意味)・マイナス(悪い意味)で単語を区別して覚えるのが重要です。
例
「こころもとなし」
①はっきりしない
②不安だ、じれったい
→マイナスイメージ
例
「こころゆく」
①満足する
②気が晴れる
→プラスイメージ
例
「こころにくし」
①奥ゆかしい、心ひかれる
→プラスイメージ
同じ「こころ」がつく単語でも、意味によってプラスとマイナスのイメージをつけることができます。
古文単語は基本的に、イメージとプラス・マイナスを組み合わせて覚えていきます。
「あく(飽く)」
①満足する
②飽きる、嫌になる
このようにプラスもマイナスもどちらの意味も持ち合わせる単語もあります。
この場合は「飽きるほど満足する」のようなイメージで覚えると良いです。
漢字や語源から覚える
古文単語は現代語のもとになった言葉なので、現在使っている言葉の語源になっている単語も多くあります。
そのような知識と関連付けて覚えるという方法です。
例「はづかし」
①立派だ
恥ずかしくなるほど相手が立派である。
現在の「恥ずかしい」の語源
例「ありがたし」
①めったにない
②すばらしい
有り難い
↓
存在することが難しい
↓
めったにない
↓
めったにない素晴らしいもの
現在の「ありがとう」の語源
このように語源の知識を活用していけば、日本語のルーツである古語は覚えやすいです。
また、漢字をあてがって意味を覚える方法もあります。
例「めづ」
①愛する
②感嘆する
「めづ」は漢字をあてると「愛づ」となる。
「めづ」の場合は、漢字にすると①の「愛する」という意味がすぐに出てきます。
さらにこの単語は「好ましい思いを抱く」というプラスイメージの単語なので②の「感嘆する」という意味も覚えやすくなります。
現代語とのギャップを使って覚える
例1「知る」
現代語→知る
古語→結婚する
例2「おこたる」
現代語→怠ける
古語→病気が治る
例3「おどろく」
現代語→驚く
古語→目を覚ます
このように古文では、普段使っている現代語と意味が全く違う言葉もあります。
そうした意味のギャップを逆に利用して、印象付けて覚えるという方法です。
加えて、こういった「現代語と意味のギャップのある語」は受験でも出やすいので覚えておくと得点源になります。
次は、優先的に覚えるべき「入試によく出る古文単語」を解説します。
入試によく出る古文単語
効率的に古文単語を覚えるために、入試によく出る優先的に覚えるべき単語を解説します。
・現代語と同音異義な語
・プラス、マイナス両方の意味を持つ語
・現代語には無い語
もちろんこれだけでなく300語程度の単語を暗記する必要がありますが、優先的に覚えておくと模試などでも有利になります。
現代語と同音異義な語
現代語でも使う語で、古語特有の意味のある単語は入試に出やすいので優先的に覚えておきましょう。
・「あした」
現代語→明日
古語→朝、翌朝
・「あたらし」
現代語→新しい
古語→惜しい
・「いとほし」
現代語→愛おしい
古語→気の毒だ
・「うつくし」
現代語→美しい
古語→かわいい
・「おこなふ」
現代語→行う
古語→仏道修行をする
・「かなし」
現代語→悲しい
古語→愛しい
・「ことわる」
現代語→断る
古語→説明する
・「なやむ」
現代語→悩む
古語→病気になる
・「世の中」
現代語→世間
古語→男女(夫婦)の仲
このような語が文章中によく出てくるので、古文をフィーリングで読むと失敗するというわけです。
プラス、マイナス両方の意味を持つ語
例「いみじ」
①すばらしい
②ひどい
③とても
例のように①「すばらしい」というプラスイメージの意味もあり、②「ひどい」というマイナスイメージの意味もある語は、文脈で意味を判断しなければならないので、入試によく出ます。
文脈で判断しないといけないので、前後の文の意味をよく理解できているかがこういった単語で試されている訳です。
・「うるさし」
①わずらわしい
②立派だ
・「はづかし」
①恥ずかしい
②立派だ
・「かしこし」
①恐れ多い
②すぐれている
・「さかし」
①すぐれている
②こざかしい
・「ののしる」
①大声で騒ぐ
②評判になる
・「めざまし」
①気にくわない
②すばらしい
・「ゆゆし」
①不吉だ
②すばらしい
このような単語が文中に出てきたら、一旦飛ばして前後の文脈をよく確認しましょう。
現代語には無い語
現代語にはない語は入試では「覚えていて当たり前だよね」という感覚でバンバン出てきます。
問題になるというよりは、問題を解くための部分にこのような語が出てくるといった感じです。
これに関しては、覚えていないと意味を連想したり文脈から推測するのも難しいので、確実に暗記しましょう。
・「あぢきなし」
①おもしろくない
②つまらない
・「いとけなし」
①幼い
・「うたてし」
①嫌だ
・「かこつ」
①嘆く
・「かしづく」
①大切に育てる
②大切に世話をする
・「こうず」
①疲れる
・「とみに」
①急に、すぐに
・「ひねもす」
①一日中
これらが直接問題になることは少ないですが、覚えておかないと詰んでしまうこともあるので、暗記必須です。
最後に、オススメの参考書とそれを使った勉強法を解説します!
古文単語オススメ参考書と勉強法
古文単語の勉強については「単語帳による暗記」と「ニガテな語を書いて覚える」2つのステップで効率的に覚えることをオススメします。
その際に「古文単語ノート」を作り、暗記で覚えきれなかった単語を何度も書いてしっかり定着させていきましょう。
古文単語の勉強法
1.スキマ時間を利用して単語帳をザっと1周
→「入試によく出る語」を中心に
2.単語帳を2~3周して、ニガテな語を洗い出す
3.古文単語ノートでニガテな語を復習
4.問題集や過去問を解いて、単語を定着させる
→文章中の分からなかった語をノートに記録
このように、1~4のステップで勉強していけば誰でも古文単語をしっかりと記憶に定着させていくことが大切です。
➡【スキマ時間は1日69分も!?】スキマ時間の見つけ方を徹底解説!
では、古文単語を勉強するためのオススメ参考書を紹介します!
重要古文単語315
イメージで古文単語を覚えるために、最もオススメな参考書です。
単語のイメージとなるイラストが豊富に掲載されているので、単語の意味をビジュアルで簡単に覚えることができます。
さらに、単語が使われている例文の解説が豊富なので、単語と古文の力を同時につけることができる点もありがたいです。
共通テスト~難関大一般までをカバーできる「重要語句」に絞った内容なので、この1冊でほとんどの受験生の志望校に対応できます。
僕自身も受験時に穴があくほど使いましたし、僕の勤務校でも生徒はほとんどこれを使っています!
マドンナ古文単語230
収録語数が230語と少ないので、古文が苦手な受験生や共通テストのみ古文を使う受験生にオススメです。
マドンナ古文230の強みは、1つの単語に対する解説がものすごく豊富で、かなり分かりやすいところです。
なんと1つの単語にに対して、解説が丸1ページあるというボリュームです。
1つ1つ理解しながら覚えることができ、豊富な解説で古文常識まで身につくという一石二鳥な参考書で、古文が苦手な人はこちらに取り組むと挫折せずに暗記できると思います。
二刀流古文単語634
収録語数が634語とかなり多めで広範囲をカバーしているので、難関大で記述式の試験がある人で、古文を得点源にしたい人にオススメです。
この参考書は二刀流とある通り、2冊になっているのが特徴です。
単語帳形式で単語を覚えるものと、文章の中で覚えるものの2種類に分かれており、読解の勉強も同時に進めることができます。
古文の苦手意識がなく、むしろ古文で高得点を目指している人にオススメです。
万人にオススメ→「重要古文単語315」
苦手な人にオススメ→「マドンナ古文単語230」
難関大志望にオススメ→「二刀流古文単語634」
単語と並行して文法と敬語と古文常識も暗記
〇古文単語の効率的な覚え方
・単語のイメージをおさえる
・単語の意味のプラス、マイナスをとらえる
・漢字や語源から覚える
・現代語とのギャップを使って覚える
〇古文単語のNGな覚え方
・ゴロ合わせはNG
・現代語訳丸暗記はNG
古文は単語を覚えるだけでは、読めません。
「古典文法」「敬語」「古典常識」の3つを頭に入れてやっと読解が上手くいくものです。
なので、単語と並行してこれらの知識も暗記していきましょう。
当サイトでは、現役の国語教師が執筆する古典の勉強法に関してのコンテンツが充実しております。